「すごいね」だけでは自己肯定感は育たない…子どもを伸ばす声かけの違い

元公立学校教員として多くの子どもたちと向き合い、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事を務める熱海康太氏は、「自己肯定感は大きな成功体験ではなく、日々のごく小さなやり取りの積み重ねによって育つ」と語ります。得意げにノートを見せた小3の息子に「それより宿題は?」と返してしまった母親が、翌朝に選び直した5分間の話です。(写真はすべてイメージです)
一瞬でしぼんでいった、息子の表情
小学3年生のりく(仮名)は、夏休みの自由研究で、庭のアリの巣を観察することにしました。毎日同じ時間にノートを持って庭に出て、アリの行列を眺めては、気づいたことを絵と文字で書き留めています。
ある日、りくは母親の麻衣子さん(仮名)に、得意げにノートを見せました。「見て、今日はアリが違う道通ってた」。麻衣子さんはノートを一瞥して、「あ、そうなんだ。それより宿題のドリル、今日やった?」と返しました。りくの表情が、一瞬でしぼんでいくのが見えました。
麻衣子さんは、悪気があったわけではありません。ただ、頭の中が「やるべきことリスト」でいっぱいで、目の前の小さな報告に、十分に心を向ける余裕がなかっただけでした。
しかしその夜、布団に入ってから、麻衣子さんは昼間のりくの表情を思い出し、少し胸が痛みました。あの一瞬の受け答えが、りくにとってどんな意味を持ったのか、麻衣子さん自身にも、はっきりとはわかりませんでした。それでも、何かを取りこぼしてしまったような感覚だけが、しばらく胸に残っていました。
自己肯定感は、大きな成功体験よりも、日々の小さなやり取りで育つ
自己肯定感という言葉は広く知られるようになりましたが、それが具体的にどう育つのかについては、誤解されていることが少なくありません。
自己肯定感は、テストで良い点を取ったり、大会で優勝したりといった大きな成功体験だけで育つものではなく、






























