「しつけがなってない」は誤解? ADHDの子の言動を育て方のせいにできない理由

加藤俊徳

癇癪を起したり、じっとしていられなかったり…ADHDの子どもの言動は、周囲から「しつけがなっていない」と誤解されがちです。

しかし、ADHDは、親の育て方で生じるものではありません。「子どもはただ自分らしく生きているだけ」だと語るのは、小児科医・脳内科医の加藤俊徳先生。加藤先生の著書より、ADHDの性格がどこから来るのか、その解説をご紹介します。

※本稿は、加藤俊徳 (著)『すごいADHD脳─天才的な能力を200%引き出す方法─』(ワニブックス)より一部抜粋、編集したものです。

ADHD脳の性格は育て方のせいじゃない

思いどおりにならないと癇癪を起こす、パニックになって床に寝転がって騒ぐ、じっと座っていられない、相手を傷つける言葉を投げる……。こうしたADHD脳の特性による行動は、その背景を知らない人には大きな衝撃や誤解を与えてしまうことがあります。

「しつけがなっていない子」「いじわるな子」「ヤバいやつ」といったネガティブな印象で見られやすいのです。

そして、子どもがそんな状態になるのは、親の育て方が悪いと言われてしまうこともあります。親の責任を問われ、責められて、心も体も消耗しながらADHD脳の子を育てている人は非常に多くいます。

「あなたがちゃんと育てないからこんな子になる」と言われることは、愛情を持って育てている親にとって心をえぐられること。

しかし、はっきりと言いたいのは、ADHD脳特有の言動は決して親のせいではないということです。

親が放っておいたから言うことを聞かなくなったわけではなく、親が暴言を吐いたからストレートな物言いをするわけではありません。

どんなに愛情を持って接していても愛情とは関係なく、ADHD脳の子はADHD脳の特性が出る。ただそれだけなのです。

そして、病気としてのADHDは遺伝によるものが約74%というのが、ADHD国際学会の認識です。もしもお子さんがADHDだとわかったら、自分や配偶者がADHDかもしれない、または自分と配偶者の両親からの遺伝かもしれないと考えてみてください。

お子さんが突発的にADHDになったというよりも、親の世代、そのまた親の世代から続く遺伝性のものだと理解するほうが、納得できることが多いはずです。

自分や配偶者がADHDだった、自分はADHDの親に育てられたなど、その背景がわかることで、家族への理解が深まることもよくあります。

ADHDの多くが遺伝によってもたらされるため、そもそも親の責任という次元の話ではないのです。親からの遺伝によって顔や骨格も似てきます。その骨格遺伝によってADHDの症状が出ることがあるのです。

子どもはただ自分らしく生きているだけなのです。まずは親の育て方のせいではないと思ってください。

そして、ADHD脳を弱みではなく強みから見ることで「ADHD脳は強みの塊なんだ」と思えたら、そこから子どもにとって幸せな育て方を探っていけばいいのです。

まずは親がADHD脳を理解して、受け止めることから始めましょう。