授業中立ち歩くのはなぜ?「座れない子」が実は抱える7つの困りごと
授業中に立ち歩く子は、なぜそうなってしまうのでしょうか?ほかの子への迷惑や、原因がわからないことから、大人はつい強く叱りたくなってしまうもの。
しかし実は、立ち歩いている本人も、困りごとをかかえているかもしれません。授業についていけない、刺激がつらいなど、大人から見えにくい7つの原因ついて、元小学校教員のそうくる先生の著書よりご紹介します。
※本稿は、そうくる先生 (著) 『発達特性 グレーゾーンの子の心のもやもやを軽くして「できた!」が増える本』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
授業中に立ち歩く、教室を飛び出す
【親・先生のもやもや】
■他の子や先生に迷惑をかけて申し訳ない。
■ 注意しても聞かないのは困らせたいから?
■ 多動・衝動的になる特性を持っているから?
子どもが授業中に立ち歩いたとき、先生が全員の前で𠮟ることで「注目を集められる」と誤学習したり、居場所がなくなって教室を飛び出したりする場合もあります。授業中の立ち歩きには次のページのようにたくさんの困り感が考えられ、解決には普段の信頼関係の土台づくり、〝立ち歩く前の予防〞が大切。「この子は困っているのかもしれない」という見方で大人がかかわると、落ち着いて授業を受けられるようになっていきます。
「座っていられる日」と「立ち歩く日」の違いや「困った行動をする前」の様子を見たり、子どもの話を聞いたりして困り感を理解。立ち歩きの予防のための具体策を考えて試してみましょう。
先生や友だちに自分を見て欲しい
注目されて自分に価値を感じたい
■座れているときに「かっこよく座れているね」「先生を見て話を聞いてくれてうれしいな」と声をかける。
■好ましい行動をしているとき、言葉だけではなくGOOD、OK、拍手のジェスチャー、笑顔で認める。
■小さながんばりをこまめに認める。「この字のはねがいいね」「名前を立派に書けたね」「掃除をがんばってくれたから床がピカピカになったよ」など。
■物を運ぶ・プリントを配るなど授業の手伝いや、「次は2班お願いします」「ルールは〇〇です」といった指示で人を動かす役、クラスメイト、下級生に教える役など役割を与える。「ありがとう」「助かったよ」と感謝して行動を価値づける。
■普段から、その子の好きなこと、興味について雑談をする。また、小さなもやもやを聞いてサポートし、信頼関係の土台を築く。
みんなの前で怒られた、笑われて傷ついた
この場から離れたい
■クラス全員の前で𠮟ると子どものプライドが傷つき、教室の飛び出しにつながるので避ける。他の子に聞かれないように近づいて小さな声で「どうした?」と質問からはじめ、席につくように促す(日頃の信頼関係づくりが大切)。
■別の場所に移動、授業の後などに1対1で話を聞く。「笑われてイヤな気持ちになったよね」と共感。自分はどうしたいのか、相手にどうして欲しいのかを聞いてサポートする。
■ケガにつながる危険行為(人をたたく、物を壊す)は安全のために注意することを事前に伝える。
解決のヒント:授業中に立ち歩く子が何人もいる場合は…
45分間の授業内容を工夫。たとえば授業がはじまって立ち歩く子が1人、2人と増え、
30分ぐらいしたら複数の子が立ち歩く場合、学習を20分間に。残りを工作、遊び、ディベートにするなど「また授業ができなかった」という状態を繰り返さないようにします。日頃から子どもと1対1で雑談する時間をつくり、小さなもやもやを聞いて信頼関係を築くことで「席についてね」という指示を聞いてもらいやすくなります。
授業がわからない、授業で不安なことがある
そわそわして落ち着かない
■「次の授業で〇〇をするんだけど、不安なところはある?」と授業内容を事前に伝える。たとえば、「発表をするのがイヤ」なら、「発表をやらなくていいよ」「当てないから大丈夫だよ」と安心の見通しを持たせる。
■その子のレベルに合った課題に調整。問題を簡単にする、量を減らす、文章問題を読んであげる、図や絵を書いてあげる、計算式を書いてあげるなど手伝って負担を減らす。
■授業中、何をするのかわからなくなって離席する場合、小さな紙に今やることリスト(先生の話を聞く、プリントをやる、黒板の字をノートに書くなど)を書いて机の隅に貼り、当てはまるところに丸型マグネットを置いてあげる(視覚的にわかりやすい、声を出さず周りの子にわからないように伝えられるので、本人のプライドも守れる)。
授業が簡単すぎて刺激が少ない
他に刺激が欲しいから動きたい
■課題が早く終わって時間が余ったときに取り組んでいい別の課題、難易度のレベルを上げたプリントなどをファイルや箱に入れておき、ヒマにさせない。
■授業の準備の手伝い、先に終わったらまだ解き終わっていない子の席に行って教えるなど、ミニ先生の役割を与えて教室に居場所を感じさせる。
休み時間に友だちとトラブルがあった
同じ場所にいるとイライラ
■いつもは座っていられるのに立ち歩く、教室を飛び出す場合は、クラスの友だちとケンカした場合も。「座りなさい」「教室に戻りなさい」と全員の前で強く注意せず、近づいて小さな声で「どうしたの? 何かあった?」「よかったら、昼休みに話を聞くよ」など声をかける。
■子どもが落ち着いてから1対1で話を聞き、「イヤなことがあったら教室から出るのではなくて、先生に声をかけてね。話を聞くよ」などヘルプの出し方を伝える。
音、光、においなど刺激がつらい
不快で教室から出たい
■苦手な子が近くにいると不安で感覚が過敏になることも。「教室で座るとしたらどこがいい?」と本人に聞く。
■ドアや窓を閉めて他の教室からの音をさえぎる。パーテーションで仕切って視覚的な刺激を減らす。カーテンが風でなびくときの動き、光の差し込みの変化が気になる場合、
カーテンを洗濯バサミなどで動かないように固定する。
■「授業中に気持ち悪くなったら、先生に伝えれば保健室に行ってもいいよ」と伝え、逃げ道を確保。
動きたいエネルギーを抑えるのがつらい
動かないと落ち着かない
■授業で10分に1回ぐらい「立って動く」ことを取り入れる方法も。たとえば、黒板にA、Bの答えを書き、「自分はこっち」と思うほうに名前を書いたマグネットを貼りに行く、教室の真ん中をセンターラインにしてA、Bの答えによって左右に動くなど。その他、席を移動してクラスメイトと話し合う、立って伸びをするストレッチをするなど。
■周りの席の子の動き、窓やドアの外などが気になって動きたくなる場合、視覚的な刺激の少ない座席の位置に。
体幹が弱く、座り続けることがすごく疲れる
なまけていると思われてつらい
■座っているとき姿勢が崩れやすく立ち歩きもある場合は、体幹の弱さが関係しているのかも。「ちゃんと座りなさい」と注意するのではなく、どうすれば座りやすくなるのかを考える。机の下に踏み台を置いて足元を安定させる、座面にクッションを置く、座面に滑り止めシートを敷くなどしてバランスをとりやすくするなど。
■プリントを配る、集める、黒板を消すなど授業中に役割を与えてときどき動けるようにする。
■立って伸びをする、肩を回すなどときどきストレッチをして体をほぐす。
そうくる先生 (著) 『発達特性 グレーゾーンの子の心のもやもやを軽くして「できた!」が増える本』(Gakken)
困り感が多い子どものために、最優先にすることは励ましたりほめたりする“足し算のかかわり方”以前に、もやもやを減らす“引き算のかかわり方”で、子どもの心に余裕を持たせてあげること。
本書では、家庭や学校で起こりやすい行動例をあげながら、子どものもやもやをキャッチし、減らすことでトラブルを防ぐ実践的な具体策や、子どもの意欲やがんばる気持ちを育てる、親子の関係づくりまで詳しく解説します。
