大人の「わかりやすい」は子どもにはむずかしい?絵本『しりとりマン』の気づき
大人が「喜ぶはず!」と思ったページで子どもがポカンとしたり、思いがけないシンプルな部分で大爆笑したり…。絵本を読んでいると、そんな「大人と子どもの感性のギャップ」に驚くことがあります。
しりとりで言葉をつなぐたびにヒーローの姿や能力が次々と変わっていく話題の絵本『しりとりマン』(PHP研究所)。その制作過程でも、試作段階で子どもたちに「ポカンとされてしまった」ことが、大胆な「引き算」につながったといいます。
人気の絵本の裏側にあった意外な失敗と気づき、子どもにしっかり届く表現の工夫について、作者のおおのこうへいさんに伺いました。
要素を詰め込み過ぎ!? 子どものリアルな反応


――制作途中で、試作品を子ども達に見せに行く機会があったそうですね。
制作途中で、担当編集者に幼稚園へ読み聞かせに行ってもらったことがあったんです。ですが、そのときはなんだかいまいち反応が良くなくて、ポカンとされてしまいました。
――修正する前の「最初のアイデア」では、どのような表現になっていたのでしょうか?
最初の案では、一つの言葉に対して、その特徴を説明する絵を2つくらいつけていたんです。例えば「りす」だと、「おおきなまえば」と「おおきなしっぽ」、という感じですね。「特徴をちゃんと伝えたいし、絵が2つあった方が想像力が膨らむんじゃないか」と大人は考えがちなんですよね。
でも、大人が良かれと思って要素や絵を重ねすぎていたことで、かえって展開のテンポが悪くなり、子どもには伝わりにくくなっていたんです。
「引き算」でガラリと変わった反応


――試作での子どもたちの反応を受けて、どのように表現を変えて(削ぎ落として)いったのですか?
もっと簡単でシンプルでよかったんだと気づき、構成をより整理していきました。
たとえば、しりとりで長くなったヒーローの名前を見せるページでは、最初は「ひとりすいからふるーれっと…」と音を重ねて、重なった部分の文字の色も2色になるように見せていました。でも、「ひと、とり、りす、すいか」と単語で見せていく方が、子どもは喜んでくれるんです。
言葉が長く繋がっていく複雑さや「噛みながら長く喋る」ような面白さを楽しむのは、どちらかというと大人っぽい感性なんですよね。「ここは子どもは面白がらないんだ」と学び、徹底的に削ぎ落としました。
――「引き算」をすることで、伝わり方が全く変わったのですね。
はい。余計な説明を省いてテンポよく展開できるように整理しました。説明を減らしたことで、読み聞かせをしてくれる親御さんもスムーズに読めるようになったと思います。
「大人のこだわりを削ぎ落として、もっとシンプルにしていいんだ」ということは、今回の制作過程でとても強く実感した部分ですね。
子どもによってツボはバラバラ。いろんな楽しみ方をしてほしい
――そうして出来上がった『しりとりマン』ですが、ご自身が特に気に入っているページはありますか?また、子ども達の反応はいかがでしょうか。
僕個人としては、リスが鉄を噛む顔などが好きですね。ただ、そういう表現も大人っぽく感じてポカンとする子もいれば面白がる子もいますし、子どものツボや反応は人それぞれ違います。
絵のインパクトで喜ぶ子もいれば、初めて読むときに「『す』だったら次は何がくるかな?」とクイズのように楽しんでくれる子もいます。
子どもそれぞれの楽しみ方で、何度も読んでくれたら嬉しいですね。
しりとりの次の言葉を考えたり、ページをめくった先に現れるヒーローの姿を想像したり、自由な発想力を育む1冊! 大人数の読み聞かせにもぴったりです。
































