子どもは共働きの「犠牲者」なの? 罪悪感を抱える夫婦に伝えたい、働く親の姿の意味

「学校行事より仕事を優先して罪悪感」「お母さんはいつもいないと言われてしまう」……仕事を頑張る一方で、子どもに寂しい思いをさせているのではないかと、悩む共働き夫婦もいるのではないでしょうか。
「はた親(はたらく親)」にとって、キャリアと家庭の両立は悩ましいもの。仕事を頑張りたい気持ちと、子どもへの申し訳なさがぶつかったとき、どう考えればいいのでしょうか。
『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』より、仕事と子育ての両立に悩む夫婦の相談と、罪悪感と向き合うためのヒントを紹介します。
※本稿は、岸畑聖月 (著) 『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』(文響社)より一部抜粋、編集したものです。
夫婦共に多忙、子どもへの罪悪感
夫は管理職候補で責任あるプロジェクトを任され、妻はマーケティング職で全国出張が多い。夫婦共にキャリアの真ん中に立っている一方で、日々「子どもや家庭にしわ寄せがいっているのでは」と気に病んでいる。
( 30 代・フルタイム共働き夫婦・子小3)
パパ:小学校で「お父さん忙しそうですね」と先生に言われると、ぐっと胸が痛むんです。学校行事より仕事を優先する日は罪悪感がすごくて…。帰宅したらもう寝顔しか見られない日もあって、俺っていい父親なのか不安になります。
ママ:私も出張から帰ると「お母さんはいつもいない」って言われて…。仕事で成果を出しても、母親としては失格だと思うときがあります。でも、出世のチャンスをもらっているので、マミートラックに乗らないように頑張らなきゃと思うと、仕事の手も抜けません。
子育ては「量」よりも「質」が大切

お二人のお話を伺っていると、お子さんへの「罪悪感」と自分のキャリアへの「不安」が常に背中合わせになっているのが伝わってきます。これは親としての責任感が強い証拠でもありますが、同時にご自身を苦しめる要因にもなっているのではと心配です。
パパの感じている感情は「パピーギルト」といえます。これは近年注目され始めた概念で、父親が子どもと過ごせないことに強い罪悪感を覚える状態を指します。従来は「母親が抱くもの」とされていた罪悪感が、男性育休取得の増加に伴い、いまや父親の間にも広がっているのです。
ただ、繰り返し伝えたいのは子育ては「量」よりも「質」が大切だということ。寝顔しか見られなかった日でも、翌朝の「行ってらっしゃい」のハグや、短いメッセージでも前夜に「今日はパパも○○を頑張ったよ」と手紙を残すだけで、子どもは“いつも父親が自分を想っている” ことを十分に感じます。
一方、ママの感じている葛藤は「マミートラック」や「インポスター症候群」ですね。マミートラックとは、子育てを理由に昇進のレールから外れてしまう構造的な問題です。そして、「私は本当に評価されるだけの力があるのか」と疑ってしまうのがインポスター症候群です。成果を出しているのに「母親失格かもしれない」「この成果は偶然運が良かっただけ」と自分を過小評価してしまう。これもまた、責任感が強く誠実だからこそ生まれる悩みです。
こうした罪悪感や不安を和らげるために大切なのは、「親としての自分」と「働く自分」を対立させないことです。「はた親」の姿を子どもが見ることは「大人になっても自分の人生を切り拓ける」というロールモデルになります。ハーバードビジネススクールのマッギンら(2015)の研究でも、働く母を持つ子どもはそうでない子どもより自己効力感が高く、男女共に職業選択の幅が広がることがわかっています。つまり、あなたがキャリアを諦めず挑戦する姿は、罪悪感どころか、子どもにとって、これからの社会にとって、親として渡せる大きなギフトなんです。
また、お二人が話されていた言葉も少し気になりました。少し意識するだけで、お互いの気持ちが軽くなる方法があります。それは、「申し訳なさ」を感謝の言葉に変えるテクニックです。たとえば「今日は子どもと過ごせなくてごめんね」ではなく、「あなたが子どもを支えてくれてありがとう」、「また出張が入ってしまった… 」ではなく、お留守番をする子どもと夫に「 2人が協力してくれるから、出張頑張ってくる!」と、感謝や誇りをシェアする習慣に変えてみてください。罪悪感は沈黙の中で膨らんでしまいますが、ポシティブな言葉にすれば“ 誇り”に変わります。
最後に。文面から見るに、お二人はもうすでに十分に素敵なご両親です。罪悪感は子どもへの愛の裏返し。でもそれを抱え込まず、誇りに変えて進んでいってくださいね。子どもにとって、頑張る親の姿ほど、かっこいいものはないんです。
岸畑聖月 (著) 『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』(文響社)
「子どもはかわいいけれど、毎日、体力が限界ギリギリ!」
「時間に追われて、キャリアを考える余裕がない」
「夫婦2人とも頑張っているのに、噛み合わない」
1000名以上の現役”働く親”の声からわかったリアルな「両立の壁」に、2500組以上の働く親の両立支援をしてきた著者が全ての知見を詰め込みました!
「共働き子育てのスペシャリスト」を名乗る不思議なペンギンとともに20年間の育児と仕事の両立の航海にいざ、出発!






























