「身だしなみ」がピンとこないADHDの女の子へ。母が娘に「まず毛の処理」を勧める理由

なちゅ。(医療監修:本田秀夫)
2026.10.13 17:07 2026.10.21 11:50

女子中学生・高校生

思春期に差しかかると、気になってくるのが「身だしなみ」の問題。女の子はメイクに興味を持つ子も多いかもしれませんが、ADHDの母・なちゅ。さんが、ADHDとASDの2人の娘さんにまず伝えたいのは、「毛の処理」についてだといいます。

ルッキズムを内心「どうでもいいよ」と思いながらも、なちゅ。さんが娘さんたちにムダ毛の処理を勧めるのはなぜなのでしょうか。「身だしなみをととのえる」という暗黙のルールがピンとこない女の子たちに、なちゅ。さんが伝えたい事を、著書『ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと』より紹介します。

※本稿は、なちゅ。 (著), 本田秀夫(医療監修)『ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと』(ダイヤモンド社)より一部抜粋、編集したものです。

メイクで悩む前に「ひげ・指毛・眉間の毛」を処理する

やり方:メイクよりも効果の高いことがあります

「身だしなみがわからない」となったとき、私たちはつい、ファッションとかメイクのことだと思いがちではないでしょうか。

実は、それより効果が高いのは「かなり手前」のこと。

具体的には、身だしなみの第一歩として、毛を処理しませんか。特に優先度が高いのは「ひげ・指毛・眉間の毛」です。

今日から洗顔や歯みがきのついでに鏡を見て、自分のタイミングで剃ります。使うのは、眉用のカミソリ1本。これだけで、顔まわりも指毛もいけます。

石けん・ローションは使わなくていい。それらを塗る手間が面倒になって先延ばしにするくらいなら、「毛がない状態」をキープするほうを選ぶ。剃れたらOKです。

ちなみに、眉用カミソリを清潔にキープするのは難しいので、どんどん使い捨てるのがおすすめです。

考え方:身だしなみは、集団に「媚びる」のではなく「寄せる」

女子中学生・高校生のグループ

今は、学校でも、会社でも、「ルッキズム」が蔓延していますよね。私はいつも、「どうでもいいよ」と心の底で思いながら生きています。

一方で、「人を見た目で判断する」という圧力から完全に逃れるのも難しい。これも現実です。

人間は、集団で生きる生き物です。私たちは、自分と同じ価値観を持つ相手に、安心を感じるようにできている。逆に「自分とは違う」と感じた相手には、無意識に警戒のスイッチが入る。これは誰かが悪いんじゃなく、人間にもともと備わった習性です。だったら、その習性を逆に利用すればいい。多数派の価値観に、無理のない範囲で「ちょっとだけ寄せてみせる」。それだけで相手は安心して、こちらへの警戒を解いてくれます。

そして、その「ちょっとだけ寄せる」の中で、一番優先度が高い(コスパがいい)のが、ムダ毛の処理なのです。今の日本社会の多数派は、特に女性に対して「ムダ毛を処理していること」を、なんとなくよしとしています。これが正しいかどうかはさておき、そういう美意識が、多数派として存在している。この現実は、私が無視しても消えません。

これは、世間に媚びにいくわけではなく、自分を偽るのでもない。相手の安心を借りて、こちらがラクをするための戦略です。

まずは基本の3点(ひげ・指毛・眉間の毛)だけ。これが続けられるようになったら、「脇の下の毛を処理する」「日焼け止めを塗る」と、少しずつやることを広げていきます。超・超・スモールステップでやるのがコツです。

社会に蔓延する美意識に怯えて従うのではなくて、自分で選んで、自分のできる範囲でコントロールする。

そうすれば、ムダ毛の処理もメイクも、自分を守るために必死にやる「やらされる作業」から、自分を見せたいように見せる「攻めの戦略」に変わっていくのです。

なちゅ。

なちゅ。

  • X

1980年生まれのワーキングマザー。発達障害(ADHD:注意欠如多動症)当事者。中学生と高校生の娘、そして夫も発達障害の特性を強く持つ。長女の発達障害診断をきっかけに、発達障害やそれに関連する分野の独学を開始。以来15年以上、自らの発達障害や子育てについてXを中心に情報発信を行う。仕事でも、障害福祉分野でマネジメント担当をしながら、個人事業主として講師業やスタートアップのサポートに従事。なかでも、自身の経験を活かした発達障害の親子のケアに力を入れている。

本田秀夫

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長。長野県発達障がい情報・支援センター「といろ」センター長。

精神科医。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、1991 年から横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。2011 年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授。2023年より長野県発達障がい情報・支援センター「といろ」センター長。発達障害に関する学術論文多数。日本自閉スペクトラム学会理事長、日本児童青年精神医学会理事、日本自閉症協会理事。

ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと
なちゅ。 (著), 本田秀夫(医療監修)『ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと』(ダイヤモンド社)

この本を読んでも、立派にはなれません。
だけど、この本を読むと、ラクになれます。
身だしなみ、体、心、料理、家事、片づけ、時間、仕事、友人、親…
生きづらさの「現場」ごとに効く85の具体策