安心なはずの集団登校が負担に?班長の息子と親を悩ませた朝の問題
毎朝の登校時間、ご家庭ではスムーズに進んでいるでしょうか。
小学生の子どもをもつ共働き家庭のAさん一家。長男が通う小学校には「登校班」があり、上級生が付き添ってくれる仕組みは、新一年生の保護者にとって心強いものでした。
しかし、長男が小学6年生で班長を務めた際、欠席連絡が子どもに伝わらない問題や、時計の持ち込みをめぐる学校のルールに悩まされることになります。
学校までは歩いて10分もかからない距離なのに、なぜこれほど胃が痛む思いをしなければならなかったのか――。
Aさん一家の体験談から、登校班で起きた「朝のハラハラ」と保護者のリアルな本音をお伝えします。
便利で心強いはずの登校班…高学年になって直面した壁
Aさん一家の暮らす地域には、小学校の「登校班」があります。近所の子どもたちが異年齢で集まり、班長が先頭、副班長が最後尾を務めて、1列で通学する仕組みです。
保護者同士はLINEグループでつながり、病気で欠席する際には「今日お休みします」と連絡を取り合っていました。上級生が下級生を見守り、保護者同士も連絡を取り合える登校班は、新一年生の保護者にとって心強い存在です。
しかし、長男が小学6年生で班長を務めた際、Aさん一家は、欠席連絡が子どもに伝わらない問題や、時計の持ち込みをめぐる学校のルールに直面することになりました。
共働き家庭の悩み…「欠席連絡が子どもに伝わらない」
Aさん夫妻は共働きです。Aさんは朝8時45分の出社に間に合わせるため、毎朝7時には家を出ます。基本的には夫が子どもを見送ってから出社するスタイルですが、時には夫も出張などで早朝に出なければならない日がありました。
夫婦ともに早く家を出る日は、見守りカメラで子どもが無事に出発したかを確認し、スマートロックで遠隔から鍵を施錠して出社するスタイルをとっていました。
そんな日に困るのが、集団登校の直前に欠席連絡が入ることでした。
当時、長男は自分用のスマホや連絡端末を持っていませんでした。集合場所に向かう直前にLINEで欠席連絡が入っても、家に親がいない状態では長男に「今日〇〇ちゃんはお休みだよ」と伝える手段がありません。
保護者LINEを見ている人はほかにもいるはずですが、集合場所に親が立ち会うわけではありません。欠席の連絡を確認した保護者が、集合場所にいる子どもたちに伝えてくれるとは限らず、「今日は〇〇ちゃんがお休みだと、誰が長男に伝えてくれるのだろう……」と、出先で見守りカメラを確認しながら、気が気ではない日々が続いたといいます。
班長の息子を悩ませた「今、何時?」問題
そんなある日、班長として頑張っていた長男から、ぽろっとこんな相談を受けました。
「連絡なしで遅れてくる子がいて、集合場所で待つ時間がすごく不安なんだよね。いま何時なのかも分からないし……」
班長を務める長男にとって、集合場所でメンバーがそろうのを待つ時間は、不安の募るひとときだったようです。全員がそろう前に出発するわけにもいかず、かといって時計もないまま、寒空や猛暑の中で待ち続けるのは精神的にも大きな負担だったといいます。
「班長に時計を持たせる?」保護者の提案と学校の壁
同じような悩みを抱える家庭はほかにもあったようで、別の登校班でも同様の問題が話題になっていました。
そこで浮上したのが、「班長に腕時計やキーホルダー型の時計を持たせてはどうか?」という案です。保護者から学校へ提案したものの、不要物の持ち込みに関するルールや、時計の管理・責任の所在が課題となりました。
学校側からは、次のような懸念が示されました。
・学習に関係のないものを学校に持ち込んでよいのか
・時計の管理を誰が担うのか
・紛失や破損が起きた場合、誰が責任を負うのか
・電池切れや故障に備えた対応マニュアルをどう整備するのか
班長としての責任を果たそうとする子どもたちを助けたいという保護者の思いはあったものの、管理方法やトラブル発生時の対応など、検討すべき課題は多く、話し合いは難航しました。
結局、根本的な解決策が見つからないまま月日は流れ、長男は小学校を卒業していきました。
次男もいずれ班長に…数年後の朝を思うと憂鬱に
モヤモヤを抱えたまま、長男の登校班をめぐる問題はいったん幕を閉じましたが、Aさん一家の登校班ストーリーはまだ終わりではありません。
現在、Aさん一家には小学3年生の次男がいます。あと数年もすれば、次男にも班長や副班長を務める順番が巡ってくるはずです。「あの時の胃が痛くなるような朝のハラハラを、また繰り返すのかな……」と、Aさんは今から重い気持ちになっているといいます。
正直なところ、Aさんの自宅から学校までは歩いて10分もかからない距離。「これなら安全確認だけして、各自で個別登校させてくれたらどんなに楽か……」というのが、親としての偽らざる本音のようです。
デジタル化する保護者連絡と、変わらない学校のルール
大人同士はLINEなどのデジタルツールで一瞬で連絡を取り合える時代になり、親の出社後もカメラや遠隔施錠で安全確認ができるようになりました。しかし、子どもたちの現場では、時計の持ち込みひとつにも管理や責任の問題が立ちはだかります。
時計を持っていない子どもたちだけでは、「あと何分待つのか」「何時になったら出発するのか」を判断するのも簡単ではありません。正直なところ、登校班の仕組み自体が今の時代に合わなくなっているのかな……と感じることもあります。
親が毎朝付き添うのにも限界があります。「遅れている子をいつまで待つか」の判断を時計もない子どもだけに委ねるのではなく、キッズ用の時計やスマート機器をもっと柔軟に認めたり、個別登校を容認したりするなどの工夫があってもいいはずです。
共働き家庭が増え、朝の事情も多様化している今だからこそ、学校のルールも、子どもも親も安心して過ごせる形へと変わっていってほしいものです。































