「同期はどんどん昇進してるのに…」時短勤務で置いていかれる焦り、子育て中のキャリアをどう考える?

岸畑聖月
2026.10.27 11:39 2026.10.27 11:30

ベビーカーを押す母親

時短勤務を続けるなか、まわりが次々と昇進していくのを見て、「自分だけが置いていかれている」と焦りを感じる人もいるのではないでしょうか。

子育てと仕事の両方を担う「はた親(はたらく親)」にとって、限られた時間のなかでキャリアをどう築いていくかは悩ましいもの。周囲との差を感じ、焦ってしまうとき、どう考えればいいのでしょうか。

『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』より、キャリアに悩む人へのアドバイスと、無理なくキャリアを積み重ねていくためのヒントを紹介します。

※本稿は、岸畑聖月 (著) 『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』(文響社)より一部抜粋、編集したものです。

昇進する周囲と自分を比べてしまう

仕事にはやりがいを感じており、本来はもっとスキルを伸ばしたいと考えているが、子どもの世話や家庭のタスクが多く、勉強や挑戦の時間を確保できない。周囲では同期が次々と昇進し、自分だけが足踏みをしているような焦燥感が強まっている。
(30 代女性・時短勤務・子小1)

ママ:本当はもっとスキルアップの勉強をしたいし、挑戦的な仕事もしたい。でも、子どものことがあると時間も気力も足りなくて…。時短勤務の限界を感じて、周りに置いていかれている気がします。とはいえ、時短を取れるのもあと数年で、子どもに関わった方がいいのかなとも思うし…。

大切なのは“時間の再設計”

「同期はどんどん昇進してるのに…」時短勤務で置いていかれる焦り、子育て中のキャリアをどう考える?の画像1

まず、この気持ちはとても自然なもので、あなただけが抱えているわけではないことをお伝えしたいです。子育て期にキャリアの停滞感を強く覚える人は多く、特に日本のように「時短=一時的な戦力ダウン」と見なされやすい環境では、焦燥感が募るのは当然のことです。

ただ忘れてはいけないのは、時短を選んでいること自体が「キャリアを諦めている」わけではないということです。むしろ、“家族との時間に意識的に投資している” という点で、人生全体を見たときには大きな資産になっています。

キャリアは仕事のスキルだけではありません。子どもに関われる時期は限られており、数年後に「あのときそばにいた」経験を持つあなたは、誰かの“共感性を持つ憧れの上司” かもしれません。最近では、企業の採用サイトなどに子育てと両立している従業員インタビューが掲載されているケースも多く、子育て経験は、 キャリアのブランディングにもなります。

とはいえ、「昇進やスキルアップの停滞」という課題を無視する必要もありません。ここで大切なのは“時間の再設計” です。

1日1時間を確保するのは難しくても、週3回15 分のインプットなら現実的です。オンライン研修、ポッドキャスト、業務内でのマイクロチャレンジ( たとえば会議で必ず1回は意見を言うなど)、これらは小さいながらも、着実なキャリア資産になります。小さな挑戦の方が習慣化につながりやすく、その効果は絶大です。

また、焦りの根底には「周囲と比べて置いていかれている」という感覚があります。これはいわゆる「キャリアの相対的剥奪感」で、誰しもが同期や同年代と比較してしまうものです。

ライフイベントと共にするキャリアは直線的ではなく、むしろ曲線的・循環的に進みます( Wカーブですね)。短いスパンでは一時的に停滞、後退“しているかのように” 見えても、中長期で上昇していればOKです。

また、ある時期に減速しても、その経験が次の飛躍の布石になることもあります。子育て期に磨かれる「マルチタスク力」「時間管理力」「共感力」は、昇進後に強力な武器となり得るのです。ぜひ子育ての中にあるビジネススキルの成長チャンスを深掘りして、マルチタスク術、時間管理術を高度に身につけてみてください。

今のあなたは、キャリア船のスピードを少し落とす時期にいるだけであり、決して置いていかれていません。引いてみれば、キャリアと同時に育児をしているその船は全速力ですし、 それもあなたの人生であり、他の人の船がスピードをゆるめるときもきます。

あなたの大切な人生。焦る気持ちや子どもへの申し訳なさも、その気持ちごと抱きしめてあげてください。子どもは、挑戦しながら、感情も整えようと努力する親の背中を、ちゃんと見ています。

岸畑聖月

株式会社With Midwife代表取締役/社会医療法人愛仁会 千船病院 助産師
14 歳での闘病により妊娠・出産ができなくなったことをきっかけに助産師を志し、京都大学大学院医学研究科を修了。助産師として年間 2,500 件以上のお産を支える、関西最大の産科で働く中で、働きながら不妊治療や子育てをする人の苦悩、産後うつや中絶など、リアルな社会課題に直面し、2019 年に株式会社 With Midwife を設立。一般企業にて従業員のライフイベントとキャリア形成に関する悩みを助産師がサポートする支援サービス「THE CARE」を開発・運営し、伊藤忠商事株式会社やロート製薬株式会社など、大企業を中心に導入され話題を呼んでいる。半生を追ったドキュメンタリー『孤育て–いのちを守る助産師たち–』は2022年度のTXN(テレビ東京系列)にてドキュメンタリー優秀賞を受賞。また、こども家庭庁「こどもまんなかフォーラム」有識者、厚生労働省「共育(トモイク)プロジェクト」研修講師、「出産なび」PR有識者なども務める。

働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書

岸畑聖月 (著) 『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』(文響社)

「子どもはかわいいけれど、毎日、体力が限界ギリギリ!」
「時間に追われて、キャリアを考える余裕がない」
「夫婦2人とも頑張っているのに、噛み合わない」

1000名以上の現役”働く親”の声からわかったリアルな「両立の壁」に、2500組以上の働く親の両立支援をしてきた著者が全ての知見を詰め込みました!

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