AIに宿題をやらせてもいいの?「スマホ=悪」と決めつけない親の関わり方

石田勝紀

子どもがスマホでAIを使い、宿題の答えを聞いたり、文章を作ったりするようになったら、親としてどう対応すればよいのでしょうか。AIに頼りすぎると、自分で考える力が育たないのでは、と心配になることもあるでしょう。

大切なのは、AIを一方的に禁止するのではなく、使い方を親子で一緒に考えること。デジタルネイティブ世代ならではの強みを認めながら、子どもの自律性を育むためのヒントを紹介します。

※本稿は、石田勝紀 (著) 『子どものスマホとゲームに振り回される毎日が笑顔に変わる本』(大和書房)より一部抜粋、編集したものです。

AI時代に生きる子どもに、スマホのAIをどこまで使わせるか?

世の中はAI(人工知能)の急速な進化のただ中にあります。ChatGPTをはじめとする生成AIは、大人の仕事のやり方を根本から変え始めています。

そして、この波は確実に、子どもたちの世界にも押し寄せています。すでに、子どもたちのスマホの中にもAIは入り込んでいます。検索エンジンにはAIが組み込まれ、カメラアプリにはAIが搭載され、宿題の答えをAIに聞けば瞬時に教えてくれる時代になりました。

ここで、多くの親御さんが新たな悩みを抱えています。
「AIに宿題をやらせるのは、ズルではないか」
「AIに頼りすぎると、自分で考える力がなくなるのではないか」
「そもそも、子どもにAIを使わせていいのか」

これは、非常に難しい問いです。そして、正解が一つに定まる問いでもありません。私の考えをお伝えします。

AIは、「使わせない」のではなく、「使い方を一緒に考える」対象です。これは、スマホそのものに対する本書の基本姿勢と同じです。スマホを「敵」にするのではなく「味方」にする。

AIも同じように、「禁止する」のではなく「どう付き合うか」を親子で考えていくのが、最も現実的で、最も子どもの成長につながるアプローチです。

具体的には、こんな声かけが効果的です。
「AIに聞いてみるのはいいよ。でも、AIの答えをそのまま写すんじゃなくて、自分の言葉で書き直してみたら?」
「AIにこの問題解かせてみて。で、自分でも解いてみて、どっちが正解か比べてみたら面白いかもね」
「AIってすごいけど、間違えることもあるんだよ。どこが間違ってるか見つけられる?」

こうした声かけは、AIを禁止するのでも、無条件に許すのでもありません。AIを「学びの道具」として位置づけ、子ども自身の思考力を育てるために活用するという姿勢です。

AIの時代に最も大切になるのは、AIに「何を聞くか」を考えられる力、AIの答えを「本当にそうか?」と検証できる力、そしてAIにはできない「自分だけの考え」を生み出す力です。

これらの力は、AIを禁止することでは育ちません。AIを使いながら、AIとの付き合い方を学んでいくことで育っていくのです。そして、この「道具との付き合い方を自分で考え、自分で判断する」という力こそ、本書で繰り返しお伝えしてきた「自律」にほかなりません。

デジタルネイティブの感性を否定せず、強みとして捉え直す

今の子どもたちは、生まれたときからデジタルの世界に囲まれて育っています。いわゆる「デジタルネイティブ」世代です。

赤ちゃんの頃からスマホの画面に触れ、幼児期にはタブレットで動画を観て、小学生でプログラミングの授業を受け、中学生でSNSを使いこなす―。この世代の感覚は、親御さんの世代(デジタルイミグラント=後からデジタルの世界に入ってきた世代)とは、根本的に異なっています。

この違いが、スマホ問題の背景にある世代間のギャップを生んでいます。親御さんの世代にとって、スマホは「大人になってから手に入れた道具」です。だから、「なくても生きていける」と知っています。

しかし、子どもの世代にとって、スマホは「物心ついたときからそこにある、空気のような存在」です。「ない生活」を知りません。スマホは生活の一部であり、コミュニケーションの一部であり、自己表現の一部なのです。

この感覚の違いを、「子どもはスマホに依存している」「デジタル世代は集中力がない」と否定的に捉えることもできます。

しかし、視点を変えてみてください。デジタルネイティブの子どもたちは、親御さんの世代にはなかった強みを持っています。

● 情報を素早く取捨選択する力―大量の情報の中から必要なものを瞬時に見つけ出す能力は、AIの時代に極めて重要です。複数のメディアを同時に扱うマルチタスク力―動画を観ながらチャットをし、同時にゲームもする。これは、旧世代にはない情報処理能力です。

● 映像や画像で表現する力―文章よりも映像や画像で自分を表現する感覚は、これからの時代、クリエイティブな仕事において大きな武器になります。

● グローバルな感覚―SNSやオンラインゲームを通じて、国境を越えたコミュニケーションを自然にこなしている子どもたちは、グローバル社会への適応力を既に備えています。

こうした強みを、「スマホばかりいじっている」という一言で否定してしまうのは、あまりにもったいないことです。

「スマホ=悪」の思い込みを手放すとは、こういうことでもあります。デジタルネイティブの感性を、欠点ではなく強みとして捉え直す。その上で、その強みをどう活かしていくかを、親子で一緒に考えていく。これが、スマホ時代の親御さんに求められる新しい視点です。


石田勝紀 (著)『子どものスマホとゲームに振り回される毎日が笑顔に変わる本』(大和書房)

スマホのルールを守れない子どもが自律するために必要なのは、厳しくすることではなかった!

親が子供に「スマホをやめなさい!」と言わなくてよくなる方法が満載。スマホを味方にする親御さんのアプローチ方法がわかりやすく解説されており、スマホ問題は、親子の信頼関係を見直し、子どもの「自律心」を育てるための絶好のチャンスでもあることに気づく1冊となっています。