「ほっぺが赤い」のはサインかも? 再び広がりを見せる”りんご病”に注意

子どものほっぺが赤くなっている――その愛らしい見た目の裏に、感染症のサインが隠れているかもしれません。竹内内科小児科医院の院長・五藤良将先生に広がりを見せている「りんご病」についてお聞きしました。(取材・文/吉澤恵理)
通常は春から初夏にかけて流行する「りんご病」
――りんご病の感染が広がっていると言われますが、実際に患者さんは増えていますか?
例年、春から初夏にかけて流行する疾患ですが、2025年は特に東日本を中心に流行の兆しが顕著です。
当院でも、5月下旬から6月初旬にかけての患者増加を実感しています。
特に、山形県、栃木県、北海道、群馬県、福島県、新潟県、埼玉県などの19道県で、定点当たりの報告数が警報基準値(2.0)を超過しており、保育園や小学校での集団発生が懸念されています。
――どんな症状が出るのですか?
「りんご病」の名称通り、両頬がりんごのように赤くなる紅斑が特徴的です。
発疹が出る前には、微熱、倦怠感、鼻水や咳などの軽い風邪症状が見られ、この”前駆期”がもっとも感染力が高いとされています。
大人が感染した場合、紅斑が目立たず関節痛が主体となることがあり、関節リウマチなどと鑑別が必要になるケースもあります。
「かぜ症状」が出ている時期にもっとも感染力が高い

――診断が遅れた場合、どんなリスクがありますか?
かぜ症状が出ている”前駆期”に感染力が最も強いため、診断が遅れると周囲への二次感染のリスクが高まります。
特に、妊娠20週未満の妊婦がヒトパルボウイルスB19に初感染した場合、胎児水腫や胎内死亡など重篤な転帰をたどることがあり、慎重な対応が求められます。
なお、発疹が出た後は感染力が急激に低下するため、学校保健安全法上は出席停止の対象とはされていません。ただし、集団生活施設においては個別の判断が必要です。
――診断はどのように行われますか?
典型的には両頬の紅斑が出現し、その後1〜2日以内に四肢にレース状(網目状)の発疹が現れます。これらの経過を踏まえた臨床診断が基本です。
補助的に、血清でB19 IgM抗体陽性を確認することで急性期感染が証明されますが、ルーチンでは行いません。
妊婦や免疫抑制状態の方で、感染リスク評価が必要な場合に限って検査することが多いです。
――受診のタイミングは?
以下に該当する場合は、早めの受診をおすすめします:
・発熱やかぜ症状が長引く
・頬や四肢に特徴的な発疹が出た
・近隣の園や学校で流行している
・同居家族や周囲に妊婦がいる
早期診断により、家庭内・地域での感染拡大防止に繋がります。
治療には特効薬がありますか?
伝染性紅斑には特異的な治療薬はなく、自然軽快が期待されるウイルス疾患です。
治療は対症療法(解熱剤、安静、水分補給)が中心となります。
ただし、免疫不全、溶血性疾患(鎌状赤血球症など)や妊婦が感染すると、胎児に貧血や胎児水腫を生じ、まれに胎児死亡に至ることがあるため、専門的管理や入院が検討されることもあります。
感染を広げないための対策は?

基本的な感染対策が重要です。
・手洗い・うがいの励行
・風邪症状時の登園・登校自粛
・タオルや食器の共有を避ける
・妊婦が家族内にいる場合は接触制限し、医療機関に相談を
特に、無症候のうちに感染させてしまうリスクがある点を意識することが大切です。
伝染性紅斑は、多くの場合は自然に治癒する軽症のウイルス感染症です。しかし、診断が遅れることで感染が拡大したり、妊婦などへの健康影響が生じることがあります。
「ただの風邪」と見過ごさず、流行時は特に注意を。地域での感染状況を踏まえて、早めの受診と正しい知識の共有が感染拡大防止の第一歩です。






























