「学校どうだった?」で子どもが黙る理由とは?”会話が止まる親の質問”の正体

キャリー・A・フロー幸島守
2026.05.27 14:14 2026.05.28 11:50

小学生の女の子を見つめる母親

我が子に毎日のように投げかけている「学校どうだった?」の質問、実は子どもにとっては返答に困る質問かもしれません。思わず「べつに」と口を閉ざしてしまう原因になることも…。

学校から帰ってきた子どもがほっと一息ついて、自然と「あのね」と話し出すために、親ができる関わり方とは?

親子の会話を生み出すコツを、教育系YouTuber「キャリー先生」の著書よりご紹介します。

本稿は、キャリー・A・フロー幸島守(著)『子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言』(KADOKAWA)より一部抜粋、編集したものです。

「カフェ」をイメージすると、 家庭が親子の会話が自然に生まれる場になる

多くの親は、子どもを学校に「送り出す」ことに意識が行きがちです。

「遅刻しないように」「忘れ物がないように」「ちゃんと勉強できるように」と思うあまり、朝から子どもにかける言葉は「急いで」「なにしてるの」「ちゃんとして」と一方的になってしまうものです。

一方、学校から帰った時には「どうだった?」「宿題、はやくやって」「遊んでないで」と子どもに指示する言葉であふれます。子どもからすれば、家庭はまるで“学校の残業をやる場所“のように感じてしまうこともあるでしょう。

これは大人でも「キッツいなあ」と、僕は思います。仕事から帰って、家庭で聞く最初の言葉が「どうだった?」では、むしろ疲れは倍増しそうです。ママやパパは互いにそうしたことを言っていませんか? まずは互いをねぎらいましょう。それは親子であっても同じです。

子どもが帰宅して、最初に感じて欲しいのは“「安心・安全マイホーム」に帰ってきた!“という安堵感です。今日1日のキラキラとモヤモヤの荷物を下ろし、親と一緒に整理をする。その時間をつくってあげましょう。

「ゲームは宿題をやってから」が、その家のルールであってもいいのです。けれども、帰宅していきなりの「どうだった?」はNGです。なぜなら、とても「雑な質問」だからです。「どうだった?」は、相手に自分の気持ちを話させようとする問いかけのため、子どもには答えることがとても難しいのです。

キラキラした体験なら「楽しかった!」と言えます。親も安心できます。一方、モヤモヤした気持ちなら、「うーん」「べつに」「なにもないよ」としか答えようがありません。そして、それを親は「問題なし」と受け止めてしまうのです。

でも、そこには、冒頭にお伝えした、「言葉にならない“SOS“」が隠れているのかもしれません。

笑顔の小学生の女の子

子どもが家に帰ってきた時、本当はママやパパもこう思っているはずです。

「よく、帰ってきてくれたね。よく頑張ったね。会えて安心したよ」

まず、そのことを子どもに伝えてください。

自分を待っていてくれる人がいる。ここは自分の居場所だ。「安心・安全マイホーム」なんだ。子どもが、毎日、そのことを実感できれば、学校からストレスや不安を持ち帰っても、抱え込まずに荷を下ろすことができます。そして親子の会話が自然と生まれ、子どもも「あのね」と今日の体験、今の気持ちを話す糸口を見つけることができるようになっていきます。

こうお話しすると誰もが「そうですよね」「そうします!」と納得されます。でも、僕が「よっしゃあ! じゃあ、今日からやってみよう!」と言うと、「え、いきなり? どうやって?」とほとんどの親がとまどいます。

当然ですよね。でも大丈夫! ちょっとしたコツがあります。

あなたが誰かと気軽におしゃべりするシーンを思い出してください。たとえばお気に入りのカフェで気の置けない友人とのたわいもないいつもの会話をしているシーンがいいでしょう。近況もあれば、グチもOK。時には深刻な悩みも、話すだけで解決するようなこともあったでしょう。カフェって「おしゃべり」をする場でもあるのです。座っていきなり「で、どうだった?」とはなりませんよね?

子どもが帰ってきました。いつもはウッキウキな子が、ちょっとモジモジしていても、「どうしたの?」「なにかあったの?」といきなり聞かず、いつも通りの「おかえりなさい」で迎えてあげましょう。でもここは、親と待ち合わせをしたカフェです。こう、声をかけてみてください。

「おかえりなさい。今日も頑張ったね。温かい飲み物も、お菓子もあるよ」

親子で過ごす時間は、「親」が「子ども」に報告を求める場でも、予定を確認する場でもありません。一緒に「安心・安全マイホーム」に浸り、子どもは荷ほどきをし、親は今日の子どもの変化を見つめる時間です。

この子が生まれた頃、まだしゃべれない赤ちゃんにあなたは何をしていましたか? 一方的に「可愛いね。可愛いね」と声をかけていた自分の姿を思い出してください。子どもはその言葉のシャワーを浴びて、ここまで育ってきました。

その子は今も、親から「おしゃべり」を学びながら成長中なのです。

キャリー・A・フロー幸島守

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元・小学校教員/公認心理士

子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言

キャリー・A・フロー幸島守(著)『子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言』(KADOKAWA)

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子どもの心を育てる“安心・安全マイホーム”

子どもたちの「心」は、我慢や根性によって鍛えられるものではありません。
安心できる関係性と、「大丈夫」と思える自己肯定感の積み重ねによって育まれます。
その土台となるのが、日々、家庭で交わされる親の何気ない“ひと言”です。

本書では、親の言葉が子どもの心にどのような影響を与えるのかをわかりやすく解説するとともに、子どもの気持ちを支える具体的な声かけや会話の工夫を豊富に紹介していきます。

著者のキャリー・A・フロー氏は、20年にわたり公立小学校で教鞭を執ってきた教育現場のプロフェッショナルであり、二児の父でもあります。学校で見てきた子どもたちのリアルな悩みをもとに、教師と保護者それぞれの視点から、子どもに寄り添う関わり方を丁寧に解説していきます。