子どもの自立を妨げているのは「親の愛情」だった? ツバメが教える思春期の手放し方(思春期の子との接し方は、やさしい動物たちが教えてくれる 第9回)

岡幸子,一般社団法人Raise

ツバメの親鳥は、ヒナが少し飛べるようになると巣の中まで餌を運ぶのをやめ、子どもが自分から飛んでくるよう”仕向ける”子育てをします。長年、都立高校で教員を務め、『けなげに生きぬくいきもの図鑑』の著者、生き物に学ぶナビゲーターの岡幸子先生に、ツバメの子育てから見えてくる思春期の子育てのヒントを聞きました。

(聞き手・構成/一般社団法人Raise・宮本さおり)※写真はすべてイメージです
「思春期の子との接し方は、やさしい動物たちが教えてくれる」第9回

夫婦で協力して子育てするツバメの生態

生きものの中には、子育てをメスに任せきりにする種類も少なくありません。しかし、ツバメの夫婦はオスとメスが協力し合い、二羽で力を合わせて子育てをしていきます。子育てに欠かせないマイホームである巣づくりも、夫婦で一緒に行います。

卵がかえってしばらくすると、巣からはかわいらしいヒナたちが顔をのぞかせるようになります。ツバメの親鳥は、ヒナが成長するまでの間、日に数百回も餌を運び続けます。

親鳥の献身的な育児のおかげで、6月になるころにはヒナは親鳥と変わらないほどの大きさまで成長します。すると、親鳥はヒナに対して巣立ちに向けてのトレーニングを始めます。ヒナが少し飛べるようになると、親鳥はもう巣の中までは餌を運ばなくなります。

ヒナの飛行力を高めるために、親鳥は餌をくわえたまま、あえて巣の近くの電線や木の枝に止まります。ヒナが自分から餌をもらいに来るように仕向けるのです。そして、ヒナが親鳥をめがけて飛べるようになると、今度は空中で餌を受け渡すようになっていきます。

ツバメはこうして、子どもの成長に合わせて、トレーニングの内容を少しずつ変えていくのです。ヒナはこうしたトレーニングを通して空中を飛ぶ虫を自分で捕まえる力を身につけていきます。

一連のトレーニングを終えるころには、親鳥とともに群れの中に入り、南へ向かって飛び立っていきます。長い旅を生き抜くためには、十分な飛行力を身につけていなければなりません。ツバメの親鳥は、生きるために必要な力を、日々のトレーニングを通して子どもたちに教えていたのです。

「手を出しすぎる親」が子どもの自立を妨げる

では、この「ツバメ式子育て」を人間に当てはめてみましょう。多くの親御さんが、子どもが困らないようにと、ついつい手を出しすぎてしまう傾向があるように思います。

忘れ物をしたら学校まで届ける、宿題を一緒にやりすぎる、部屋の片付けを全部やってあげる……。