面談で3時間怒られた中学生を変えた「母の怖いひとこと」とは?東大生の親のかかわり方

西岡壱誠
2026.06.05 11:55 2026.06.05 21:00

頭を突っ伏す中学生男子

「正直あまり出来のいい子どもではありませんでした」と語る、東大生作家の西岡壱誠さん。毎日のように注意されていた中学生時代、面談で3時間にわたって叱責された経験があります。
その帰り道、母からかけられたある“怖いひとこと”が、自分の人生と向き合う大きな転機になったそうです。

西岡さんの著書より、子どもの「生きる力」を育てる親の関わり方をご紹介します。
 
※本稿は、西岡 壱誠 (著) 『怒りすぎたあとからでも始められる子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令出版)より一部抜粋、編集したものです。

大人になるとは、どういうことなのか?

学校の教室

さて、ここで一つ私の親の話をさせてください。

中学生の頃、私は正直あまり出来のいい子どもではありませんでした。先生に叱られて帰ってくることも多くあり、テストで0点を取ったこともあります。担任の先生から、毎回のように注意されていました。それでも変わらない私を見かねた先生は、母を呼び出し、三者面談をすることになりました。

担任の先生は、「お前はなんでこんなにダメなんだ」「なぜ努力しないんだ」と、3時間も説教しました。3時間もです。普通であれば、その場にいる母も恥ずかしい思いをするでしょうし、怒られている私以上に、母が先生から責められているように感じてもおかしくはありません。

ですが、母はひとことも口を開きませんでした。まるで他人ごとのように沈黙していたのです。帰り道、私は母に「なんでなにも言わなかったの?」と聞きました。「なんで勉強しないの!」「親として恥ずかしい!」「先生の言うこと聞きなさい!」など、叱られることを想定していたのですが、母はこう言いました。

「怒られていたのはあんたでしょ? 私が怒られていたわけじゃない。あんたが自分の責任で怒られていた。それだけのことよ」

この言葉に、当時の私は雷に打たれたような衝撃を受けました。

3時間も先生に説教されたことよりも、母のそのひとことのほうがよっぽど怖くて、心に刺さったのを覚えています。

このとき、「これは自分の問題なんだ」とはじめて自覚しました。親が、これはあなたの人生だ、と線を引いてくれたおかげで、自分で自分の人生を歩んでいかなければいけないことに気がついたのです。

母は助け舟も出さないけれど、責めもせず、ただ私の“責任”として突き返した。それが、「自分の人生だから自分で、なんとかしなければいけない」という覚悟につながっていったのです。

では、大人になるとは、どういうことなのか。

それは、「自分のことを自分で決める」「自分の選択に責任をもつ」ことです。これは年齢を重ねれば自然と身につくものではなく、日々の小さな選択の積み重ね、試行錯誤のなかで養われていく生きる力ともいえます。

ですので、親には「失敗させないようにする」考えではなく、「失敗しても大丈夫なように支える」発想の転換が求められます。

子育ての思考法

後ろ姿の男の子

親として、子どもがうまくいかなかったときには、その失敗の出来事に焦点を当てて責めるのではなく、その失敗とどう向き合っていくか、どう活かしていくかを一緒に考えていってほしいのです。

たとえば、すぐに「無理かも」と言ってあきらめる大人になってほしくない、挫折を経験したら引きずって落ち込んでいるだけの大人になってほしくない、物事にひるんで挑戦しない大人になってほしくない……と、親が願っていたとします。

この願いを逆算して、どうすれば子育てに活かせるかを考えてみてください。

●すぐに挫折しない大人に育ってほしい
→子どものときに、失敗を経験してもらい、失敗に慣れてもらう。

●挫折しても、自分で立ち上がれる大人になってほしい
→挫折したあとに、どう立ち向かえばいいか子どもに考えてもらう。

●未知の世界にも、ひるまず挑める大人であってほしい
→親から見て失敗するとわかっていても、子どもの判断で挑戦してもらう。

子どもを転ばせないことがやさしさではありません。

転んでも立ち上がり、また挑戦したいと思わせる勇気をもつ人になってもらうことが、本当のやさしさではないでしょうか。

親のやさしさは、あとから効いてくるのです。

こうした親のスタンスの取り方により、子どもは大きく変わっていきます。大人になれるか、それとも子どものままで止まってしまうか。その分かれ道は、子どもの資質以上に、親の意識にかかっています。

失敗を恐れず、子どもに経験してもらう。そして、それを見守る。それが子どもを「子どものまま」にしないための、親の覚悟です。

【Think!】「助けない」ことも、親のやさしさになる

西岡壱誠

西岡壱誠

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東大生作家。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも2浪し、3年目から勉強法を見直して偏差値70、東大模試で全国4位となり東大合格を果たす。東大入学後、『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修を担当。2020年には株式会社カルペ・ディエムを設立し、全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施して高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師への指導法のコンサルティングを行っている。

怒りすぎたあとからでも始められる 子どもの地頭が育つ後悔しない子育て

西岡 壱誠 (著) 『怒りすぎたあとからでも始められる子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令出版)

子どもの個性や可能性、自己肯定感を奪わないために親にできること
もう、怒ったあとに落ち込まない
親子で地頭がよくなる子育ての思考法

「叱らない」「ほったらかす」「褒める」……子育ての正攻法に悩むすべての親へ。
罪悪感を抱いたら、この本を開いてみてください。