なぜ親はいじめに気づけないのか?臨床心理士が教える「SOSサイン」のチェックリスト

子どもが不登校になると、「いじめが原因では」と頭によぎる親御さんも多いのではないでしょうか。その一方で、子どもが何も話してくれなかったり、はっきりしたサインが見えなかったりすることで、確信が持てずに悩み続けてしまうこともあります。
いじめは表面に出にくく、本人からも語られにくいという特徴があります。そのため、親が気づかないケースも少なくありません。
本記事では、不登校支援に携わる臨床心理士・小林正幸先生監修の本より、不登校の背景として考えられる「いじめ」のサインや、家庭と学校の向き合い方について整理して解説します。
※本稿は、小林正幸 (監修) 『子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本 (知りたいことシリーズ)』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。
原因に「いじめ」がありそうなら子どもの様子を注意深く観察
いじめられたことを子どもは親には言わない
不登校の原因として考えられるものの1つが、いじめです。しかし、いじめほど表面には出にくいものはありません。加害者はもちろん、被害者も人に言わないからです。これは虐待や犯罪被害にも言えることです。
なぜだと思いますか? 親に心配をかけたくない、自分がいじめられていることを認めたくない、そんな気持ちもあるでしょう。なかでも大きいのは「恥ずかしい」という気持ちです。恥ずかしさというのは、自分の素直な感情を抑える思考です。恥ずかしいから、つらいのにつらいと言えない、助けてほしいのに助けてと言えないという状況をつくり出してしまうのです。
ですから、「あなた、もしかしていじめられているの?」などとストレートに聞かない方がよいのです。子どもの様子を注意深く観察して、何か大きなストレスがかかっていないかを読みとってください。左の「発見シート」もその一助になるかもしれません。
ほかの保護者から、「うちの子から聞いたんだけど」と連絡がくる場合もありますが、その場合もわが子に「何があったの?」と追及するのではなく、「話したいことがあれば聞くよ」というスタンスでいましょう。
いじめの可能性がある場合、対応するのは学校の責任

いじめを早く見つけて対策すれば改善率は諸外国よりも高い
2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行されて、学校側のいじめに対する対応は変わりました。この法律の肝は、学校に「いじめが疑われる子を数多く発見しなさい」と学校が行う手筋を明示したことです。被害者にあたる子や保護者、クラスメイトなどからの報告や相談があれば、ただちに複数の教員がチームを作ります。まず、被害者にあたる子の安全を複数の目で見守り、安全を確保します。そして、事実関係の調査を開始するのが原則です。加害者にあたる子がそれを否定しても、被害者が心身に苦痛を感じていれば「いじめである」と法律は定義します。できるだけ早い段階でいじめの芽を見つける、その決意の表れがこの法律なのです。
諸外国も同じ傾向がありますが、諸外国に比べて日本は、いじめを学校や保護者が発見した場合の改善率が高いことがわかっています。数多く見つけ出し、対策を即座に打つのが徹底されるからです。
ですから、わが子がいじめられている可能性があれば、すぐに学校に相談しましょう。原則として窓口は学校で、調査をするのも学校ですが、学校にお任せでなく、わが子が学校で過ごすためにどうするのかを、学校と家庭がいっしょに考え、問題の解消に歩んでいきましょう。
いじめが不登校の原因の場合の注意点

●子どもを学校に行かせるのは慎重に
いじめが背景にある場合、安易に再登校させると子どもがまたつらい目に合う可能性がある。しばらくは子どもの安全を第一に考え、学校側の体制が整ってから登校を検討する。
●問題解決に向けて学校と連携
問題解決に当たるのは学校の役割。こまめに連携をとって状況を確認しつつ再登校の時期を考えよう。相手の親などに直接連絡することは避けるべき。
●いじめの原因を子どものせいにしない
「あなたも悪かったのでは」「やり返せないなんてだらしない」など、子どもを責めることは絶対にしないこと。ただでさえ自己肯定感が下がっている状態だということを忘れずに。
●親には言えなかった気持ちを理解する
親は「もっと早い段階で相談してほしかった」と思うものだが、それができなかった子どもの気持ちを理解しよう。相談されなかったからといって、親が自分を責める必要もない。
●相談窓口は学校以外にもある
学校の対応が思ったようなものでない場合、学校に不信感がある場合、各市区町村の教育委員会に相談できる。私立学校の場合は対応窓口が異なるので、自治体に確認を。
小林正幸 (監修) 『子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本 (知りたいことシリーズ)』(主婦の友社)
2024年度の文科省の調査では、小中学生の不登校は過去最多の約35万人(年間欠席30日以上)。欠席は30日に満たなくても、教室に入れず保健室で過ごしているなど不登校傾向の子どもは100万人を超えると推計されています。「まさか、うちの子が」と動揺しているのはあなただけではありません。子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、親はどうすればいいのか。本書では、初期のメンタルケアから、家庭を「安心できる居場所」に変える環境づくり、不登校中にやれること、出席扱い制度のこと、フリースクールや通信制高校といった最新の進路事情までを網羅しました。不登校は「終了」ではなく、子どもが自分らしく生きるための「再起動」のきっかけです。心配ばかりが膨らみがちな親御さんに、本書を読んで次のアクションに繋げるためのヒントを見つけてほしいと願っています。































