小学校高学年のスマホ・ゲーム問題 友達関係も大切にするルールの決め方とは?
小学校高学年になると、友達とのオンラインゲームやLINEなど、スマホ・ゲームをめぐる問題が増えてきます。親としては利用時間を制限したくても、友達との関係を考えると、どこまで認めればよいのか迷うこともあるでしょう。
この時期に大切なのは、子どもに一方的に制限を課すのではなく、友達との関係も考慮しながらルールを決めること。友達とのオンラインゲームのルールの決め方や、動画を見続ける子への具体的な対応を紹介します。
※本稿は、石田勝紀 (著) 『子どものスマホとゲームに振り回される毎日が笑顔に変わる本』(大和書房)より一部抜粋、編集したものです。
小学校高学年のための処方箋
小学校高学年(4年生〜6年生)は、スマホやゲームをめぐる問題が本格的に始まる時期です。それまで親御さんの管理下で遊んでいた子どもが、大きな変化を迎えます。
小学校高学年のスマホ・ゲームの利用実態で、最も多いのは動画視聴(YouTube など)で約90%、次いでゲームが約85%、SNS(LINE,TikTok,Instagramなど)が約60%となっています(こども家庭庁、モバイル社会研究所の各調査より)。
つまり、この年齢の子どもたちは、自分のスマホやタブレット、あるいは家庭のタブレットで動画を見て、Switchなどのゲーム機やスマホのオンラインゲームで遊び、LINEで友達とやり取りをしている―というのが典型的な姿です。
親御さんが困っている内容の大半は、動画を延々と見続けることと、ゲームをやめないことの二つです。
なお、スマホやゲームの使い方には、男女で傾向の違いがあります。
男の子はオンラインゲーム(ロブロックス、フォートナイトなど)に没頭するケースが多く、友達とオンラインで一緒にプレイする「社交としてのゲーム」が中心になります。親御さんの悩みも「ゲームをやめない」「ゲーム中に暴言を吐く」が多いです。
一方、女の子は、YouTubeやTikTokの動画視聴、Instagramの閲覧や投稿、LINEでの友達とのやり取りが中心になる傾向があります。ゲームをする女の子ももちろんいますが、どちらかといえば「見る」「つながる」「発信する」という使い方が主流です。
女の子のスマホ使用で親御さんが見落としがちなのは、一見トラブルが起きていないように見える点です。ゲームのように「やめなさい‼」とバトルになることは少ないかもしれません。
しかし、動画やSNSを長時間見続けることで、睡眠時間が削られたり、他の子との比較で自己肯定感が下がったり、友達関係のトラブル(LINEでの仲間外れ、既読スルー問題など)が静かに進行していることがあります。
男の子の問題は「目に見えやすい」、女の子の問題は「目に見えにくい」―この違いを、親御さんは意識しておいてください。
ゲームへの対応(曜日を決める、家族会議など)は主に男の子に多いケースですが、動画への対応や、声かけ・雑談のアプローチは、男女問わず共通して使えます。
まずゲーム(ゲーム機・スマホのゲームの両方を含みます)への対応を中心にお伝えし、その後に動画視聴への対応についてもお話しします。
では、この時期のスマホ・ゲーム事情を、もう少し詳しく見ていきましょう。友達がゲーム機を持ち始め、「自分も欲しい」と言い出す。友達同士でオンラインゲームをやるようになり、「入れてもらえないと仲間外れになる」と訴えてくる。
スマホを持っている友達が増え、LINEグループに入っていないと話題についていけないと主張する。親御さんとしては、「まだ早い」と感じる一方で、「友達関係に影響が出るなら……」と揺れるところでしょう。
この時期の特徴を一言で言えば、「友達との関係がスマホ・ゲームの中心になる」 ということです。それまでは一人で遊んでいたゲームが、友達と一緒にやるものに変わる。この変化を理解しているかどうかで、親御さんの対応は大きく変わってきます。
友達とのオンラインゲーム― 曜日を決めて「充実の時間」にする
友達と一緒にオンラインゲーム(ここでのオンラインゲームとは、Switchなどのゲーム機でのオンラインプレイも、スマホのオンラインゲームも、すべて含みます)をやりたい。
この要望に対して、「毎日1時間まで」というルールだけで対応しようとすると、うまくいきません。
なぜなら、友達と一緒にやるオンラインゲームは、一人で遊ぶゲームとは性質がまったく違うからです。友達が集まる時間に合わせなければならないし、チームで協力するゲームは途中で抜けにくい。「1時間で終わりなさい」と言われても、友達が続けている中で自分だけやめるのは、子どもにとって非常に難しいことです。
そこで提案したいのが、「曜日を決める」という方法です。毎日やる設定ではなく、「友達とオンラインゲームをやれる曜日」を決めてしまうのです。
たとえば、水曜日と土曜日は友達とのオンラインゲームの日。その日は、通常より長い時間(2時間など)を設定します。それ以外の日は、一人で遊ぶゲームか、ゲーム以外のことに時間を使います。
この方法のメリットは三つあります。
一つ目に、メリハリがつくことです。毎日だらだらとゲームをするのではなく、「この日は思いっきりやれる日」「この日はやらない日」と区切りができます。子どもも「水曜日が楽しみだな」と、生活にリズムが生まれます。
二つ目に、友達関係を守れることです。完全にゲームを禁止するのではなく、曜日を決めてやることで、友達との関係は維持できます。「水曜日と土曜日なら一緒にやれるよ」と友達に伝えればいいのです。
三つ目に、子どもの充実感が高まることです。制限された中で「今日は思いっきりやっていい日」という特別感が生まれ、ゲームの時間そのものが充実します。毎日だらだらやるよりも、集中してやる方が、子ども自身の満足度も高くなるのです。
曜日を決めるときは、「拒絶できない選択モデル」を使います。「友達とゲームする日を週に何日にする? お母さんは2日くらいかなと思ってるんだけど、あなたはどう思う?」
子どもが「3日がいい」と言えば、「じゃあ、まず3日で試してみて、うまくいかなかったら1週間後に見直してみようか」と受け入れる。曜日の選択も子どもに任せます。自分で決めた曜日だからこそ、それ以外の日はやらないというルールを守ろうとする力が働くのです。
動画を延々と見続ける子への対応― ゲームとは違うアプローチ
ここまで、ゲームを中心にお話ししてきましたが、小学校高学年で親御さんを悩ませるもう一つの大きな問題が、YouTubeやTikTokなどの動画視聴です。動画の問題がゲームと異なるのは、「終わり」が存在しないことです。
ゲームには、ステージのクリアや対戦の終了など、区切りがあります。しかし動画は、一本終わると次の動画が自動的に再生され、おすすめ動画が次々と表示されます。子ども自身も「もう1本だけ」と思いながら、気づけば1時間、2時間と経過している―この「終われない構造」が、動画視聴の最大の問題です。
ですから、ゲームに対して「いつ終わる〜?」と聞く第3章の声かけは、動画に対してはやや使いにくいのです。ゲームなら「このステージが終わったら」と答えられますが、動画には明確な終わりがあるようでいて、ないからです。動画に対しては、以下のアプローチが効果的です。
「あと何本? 」で区切りを作る
「いつ終わる?」ではなく、「あと何本見たら終わりにする?」と聞きます。本数で区切ることで、終わりのない動画に人工的な区切りを作るのです。
「あと2本見たら終わりにする」と子どもが答えたら、「オッケー、2本ね」と受け止めます。ゲームの曜日ルールと同じように、子ども自身に「何本」を決めさせることがポイントです。少なくとも子どもはこれで、意識をします。
しかし、それでもまだ見ることでしょう。そのときはまた、同じことを冷静に聞きます。
「あと何本で終わりにする?」と。子どもがしつこく見続けるのであれば、親もしつこく同じ質問を問い続けます。しかし、決して怒り口調で言ってはいけません。怒った段階で、これまでと同じ状況に戻ってしまいます。
タイマーを活用する
動画の場合は、ゲーム以上にタイマーを使うことが効果的です。子どもと一緒に「30分にしようか、1時間にしようか」と決めて、タイマーをセットします。タイマーが鳴ったら、今見ている動画を最後まで見て終わりにする、というルールにすると、子どもも受け入れやすくなります。
タイマーは親御さんがセットするのではなく、子ども自身にセットさせるのが大切です。
自分でセットした時間には、自分で責任を持とうとする力が働きます。

石田勝紀 (著)『子どものスマホとゲームに振り回される毎日が笑顔に変わる本』(大和書房)
スマホのルールを守れない子どもが自律するために必要なのは、厳しくすることではなかった!
親が子供に「スマホをやめなさい!」と言わなくてよくなる方法が満載。スマホを味方にする親御さんのアプローチ方法がわかりやすく解説されており、スマホ問題は、親子の信頼関係を見直し、子どもの「自律心」を育てるための絶好のチャンスでもあることに気づく1冊となっています。