不登校と成績は関係ある? 学校を休ませる親の不安に臨床心理士が出した「4つの答え」

小林正幸
2026.05.26 10:40 2026.06.02 11:50

玄関で登校を渋る小学生の男の子のイメージ

子どもが不登校になると、「成績が悪いことと関係しているのではないか」「このまま引きこもりになってしまうのではないか」といった不安を抱く保護者は少なくありません。

不登校をめぐる親の4つの悩みとその考え方を、小林先生監修の本よりご紹介します。

※本稿は、小林正幸 (監修) 『子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本 (知りたいことシリーズ)』(主婦の友社)より一部抜粋、編集したものです。

子どもの不登校お悩み相談

Q.小中学校は「義務教育」。学校に行かないのは法律違反?

A.子ども自身に「義務」はありません。

義務教育とは、国や保護者が子どもに受けさせる義務を負う教育のことです。

子どもには「教育を受ける権利」もしくは「学ぶ権利」があります。権利ですから、学校に行けない・行きたくない理由や強い拒絶の気持ちがある場合、子どもを学校に行かせなくても法律違反にはなりません。ただ、保護者は子どもの権利を極力守る権利擁護を果たそうとする努力が求められていますので、子どもの「教育を受ける権利」「学ぶ権利」を尊重することが必要で、子どもの意向を確かめずに、登校を一方的に妨げてはいけません。

教育基本法がつくられた当初は、畑仕事や弟や妹の面倒をみるために学校を休ませる家庭は少なくありませんでした。現在でも、子どもの気持ちを無視して保護者が学校を休ませることがあれば法律違反です。罰則10万円を課すとの規定もあります。

Q.成績が悪い子は不登校になりやすい?

A.学業不振は、「成績と自分」との関係で起こります。

教室で頭を抱えて辛そうな小学生の女の子

「学業不振」は不登校のきっかけの一つですが、成績の悪い子が不登校になるとは限りません。成績が悪くたって、授業が多少つまらなくたって、「友だちに会いたいから学校に行く」「休み時間や給食が楽しみだから学校が好き」という子はたくさんいます。

逆に、客観的に見て成績優秀な子でも「学業不振」で不登校になることは珍しくありません。学業不振は「勉強と自分」との関係性だからです。「100点とらなくちゃ」と思っている子が70点だとがっかりしますが、「50点取れればいいんだ」と思っていたなら70 点はハッピーです。単純に成績がいいか悪いかではなく、「目指す点数がとれない自分はダメだな」と思うことが問題なのです。「次のテストこそがんばる!」と思える子は、学業不振だけでは不登校にならないはずです。

Q.不登校って悪いことでしょうか。

A.悪いとすれば、学校と子どもの関係性です。

体育座りをする女の子

不登校と離婚は少し似ています。離婚そのものは、けっして悪いことではありませんよね。悪いことがあるとすれば、夫婦の関係性です。夫と妻がコミュニケーションをとることができず、日々いがみあっているとすれば、これは悪いことです。でも、お互いが同意のうえで別の道に進むことにしたのであれば、これは悪いこととは言えないでしょう。

不登校も同じです。悪いのは、学校と子どもの悪化した関係性です。子どもが学校で不安や恐れを抱きながら登校していたとすれば、これは気持ちと行動が不一致ですので、心の健康上は悪いことです。でも「学校に行きたくない、だから行かない」と決めたことは、気持ちと行動が一致していますから、これは心の健康上はむしろいいことだと思います。

離婚した2人がよりを戻すことがあるように、子どもも再登校する可能性は十分にありますし、別の道を選ぶこともあります。大事なことは、この先どうするのかということです。

Q.不登校が続いて、このままひきこもりになるのでは……。

A.不登校でも、社会との接点を保ち続ければ大丈夫!

トランプで遊ぶ親子

2022年度の内閣府による「こども・若者の意識と生活に関する調査」によると、ひきこもりの数は全国で146人と推計されています。そのうち就業経験のある人は15~39歳で62.5%、40~69歳で90.3%。社会人経験がある人が多いのです。不登校が原因というよりも、仕事や会社とのミスマッチや人間関係の問題、精神疾患や発達障害が要因となることが多いようです。

大事なことは「所属先」をもつことです。別室登校、フリースクール、オンライン上での関係でもいい。そこで安心していられ、「人っていいな」「人に感謝されるとうれしい」「自分が人の役にたっている」と感じ体験があるほど次のステップで再び学校や仕事といった「社会」や「場所」に所属しやすくなるのです。

小林正幸

臨床心理士、公認心理師、学校心理士、日本カウンセリング学会認定カウンセラー、カウンセリング心理士および同スーパーバイザー。専門は教育臨床心理学。筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。東京学芸大学名誉教授。「登進研相談室」カウンセラー。カウンセリング研修センター「学舎ブレイブ」主宰。

子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本

小林正幸 (監修) 『子どもの不登校が心配になったら知りたいことが全部のってる本 (知りたいことシリーズ)』(主婦の友社)

2024年度の文科省の調査では、小中学生の不登校は過去最多の約35万人(年間欠席30日以上)。欠席は30日に満たなくても、教室に入れず保健室で過ごしているなど不登校傾向の子どもは100万人を超えると推計されています。「まさか、うちの子が」と動揺しているのはあなただけではありません。子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、親はどうすればいいのか。本書では、初期のメンタルケアから、家庭を「安心できる居場所」に変える環境づくり、不登校中にやれること、出席扱い制度のこと、フリースクールや通信制高校といった最新の進路事情までを網羅しました。不登校は「終了」ではなく、子どもが自分らしく生きるための「再起動」のきっかけです。心配ばかりが膨らみがちな親御さんに、本書を読んで次のアクションに繋げるためのヒントを見つけてほしいと願っています。