10歳で生理は早すぎる? 見逃しやすい「思春期早発症」のサインと受診の目安

「思春期早発症」を知っていますか?男の子は「10歳までに陰毛が生える」女の子は「10歳6カ月までに初経がある」など、 思春期の二次性徴が平均より2〜3年早く始まる病気です。多くは体質に近いものですが、日常生活での困りごとや負担につながることもあり、まれに脳腫瘍などの深刻な病気が隠れているケースもあります。
どのような変化に気づいたら受診を考えるべきか、小児科医の「ふらいと先生」こと今西洋介先生の著書をもとに解説します。
※本稿は、今西洋介著『うちの子発育が早いかなと思ったら読む本』(日東書院本社)より一部抜粋、編集したものです。
2~3年早くはじまる二次性徴

思春期とは、成長におけるひとつの過程です。大人の身体へと変化する時期で、基本的にすべての人に訪れます。ご自身の子どものころをふり返ってみてください。女性なら胸がふくらみ、陰毛やわき毛が生え、初経が訪れたことを覚えているでしょう。男性も同じく陰毛やわき毛が生え、そして声変わりした記憶があるはずです。そうやって、それぞれ女性らしい、男性らしい身体へと成長してきました。平均すると、女の子は10歳ごろ、男の子は12歳ごろからはじまります。
では、思春期早発症とは? シンプルに説明すると、「そうした思春期の変化が、平均よりも2~3年ほど早くはじまる」ことです。
診断が出たあと「うちの子は病気なのですか?」と質問する親御さんは多いです。便宜上“病気”と書きますが、“体質”といったほうが近いかもしれません。その多くは、命にかかわるものではありません。苦痛をともなうこともありません。ただ「早い」のです。ですが、身体の変化が早いからといって、知的な発達や精神的な成熟が早いわけではありません。考える力や感情の育ち、社会性といった面は、あくまで年齢相応です。月経への対応や、お友だちとの違いからくる精神的負担、そして生活上の困りごとが発生しやすい状況であることから、治療をして思春期の進行を一時的に止めておくという選択肢があります。
症状が2つあれば病院へ
病院で診断基準のひとつとなっているのが、次に示した症状です。
【思春期早発症の主な症状】
■男の子
・9歳までに精巣が発育する
・10歳までに陰毛が生える
・11歳までにわき毛、
・ひげが生えたり、声変わりが見られる
■女の子
・7歳6カ月までに乳房がふくらみはじめる
・8歳までに、陰毛、わき毛が生える
・10歳6カ月までに初経がある

このうち2項目に当てはまっていれば、詳しい検査を待たずに診断が出ることもあります。ただ、骨の成長などで思春期の進み具合を確認するため、そして原因をあきらかにしたほうがいい場合があるため、各種検査は必ずします。お子さんに症状があると気づいたら、早めの受診をおすすめします。
女の子と男の子、それぞれの思春期

思春期には、発達の順番があります。女の子はまず、胸のふくらみ、つまり乳房と乳頭の発達からはじまります。その後、陰毛が生えはじめます。お子さんが9歳、10歳ぐらいになるとそれとなく気にかけ、下着などを準備するご家庭は多いですが、わずか7歳での変化は想定していないでしょう。胸は段階的にふくらんでいき、やがて陰毛が出現します。
その後、しばらくしてから初経が訪れます。女の子の成長において象徴的な出来事ですから、初経が思春期のスタートのようにとらえられがちですが、実際にはその前に乳房の発達や陰毛の出現があります。つまり、思春期が進んだ結果、初経が訪れたと理解するほうが正しいのです。
通常は、前の段階を飛ばしていきなり月経がはじまるようなことはありません。ただ現れ方や程度はそれぞれで、乳房のふくらみがほとんど目立たず、陰毛も薄いまま、初経を迎える子もいるため、そう見えることはあるでしょう。

次に、男の子です。最初に起きる変化は精巣が大きくなることです。生まれたときの精巣容積は約2mlで、それが約4mlになったところが思春期のスタートとされます。その後も約10mlを超えて成長していき、思春期が終わると、身体は成長しても精巣のサイズはほぼ変わらなくなります。
ただ外見からはわかりにくいので、本人や身近な大人が変化に気づくのは、精巣を包んでいる陰嚢が赤みをおびつつ大きくなりはじめ、陰毛が生え、陰茎の発達が進んでからでしょう。その後、ひげが出現し、声変わりがはじまるという順番です。
思春期早発症の診断基準は、通常の発達段階と比べると2~3年前倒しになっていることがわかるでしょう。思春期早発症とは、通常の思春期と違う現象が起きたり、特別な現象があったりするわけではなく、くり返しになりますが、ただ「早い」のです。
今西洋介著『うちの子発育が早いかなと思ったら読む本』(日東書院本社)
思春期早発症のお子さんには次のような兆候が現れます。
□小学校の低学年(6~10歳)で身長が急激に伸びる
□小学校の低学年(6~10歳)で体毛が濃くなる
□小学校の低学年(6~10歳)で胸がふくらむ
□小学校の低学年(6~10歳)で声変わりの予兆がある
□小学校の低学年(6~10歳)で初経がくる
思春期早発症は、それ自体が命に関わる病気ではありません。
しかし、思春期早発症のことを「知らない」ばかりに治療の選択肢を失ってしまうと、後々の後悔につながることもあります。
また、まれに脳腫瘍などの重大な原因が潜んでいることもあり、放置はおすすめできません。
ただ、残念なことに、せっかく受診しても「発育は個人差です」「様子を見ましょう」と言われて、治療の機会を失ってしまうこともあるようです。
本書では、お子さんと家族のための「思春期早発症」の基礎的な知識と役立つ情報をお届けします。
お子さんの“早すぎる発育”に「あれ?」と思ったら、ぜひ本書をお読みください。






























