「男が休んで何になる」と言われ…前例のない職場で、2か月の育休を取った男性のリアル

nobico編集部
2026.05.26 11:36 2026.05.26 11:50

赤ちゃん

第一子の誕生にあわせて、2か月の育児休暇を取得したKさん。男性の育休取得は職場で前例がなく、理解を得るまでにいろいろな苦労があったといいます。

さらに、育休中には妻の急な入院という予期せぬ出来事も。それでもKさんが、「育休を取ってよかった」と話す理由は?

実際に育休を経験して見えてきたことをお話しいただきました。

「理解ない職場」でどう育休を取った?

――育休を取ると決めたきっかけはありますか?

妻の妊娠がわかってすぐ、子どもがいる友人に「父親も育休を取るべきか」「取るとしたら、どのくらいの期間がベストか」を相談しました。すると「産後1、2か月の母親は病人みたいなものなので、その期間は取ったほうがいい」とアドバイスをもらったんです。それを受けて、2か月の育休を取ることに決めました。

その友人は職場の理解があることもあり、第一子の時は半年、第二子の時は1年育休を取ったそうです。

他にも「2日だけ休んだ」という友人もいましたが、奥さんの親が手伝ってくれていて、育休を取らなくてもなんとかなったそうです。

――育休を取ることについて、職場の理解はスムーズに得られましたか?

当時勤めていたのは、社員10人ほどの小さな広告制作会社でした。正直、育休の許可を得るまではかなり苦戦しました。

まず総務に相談したところ、「制度としては確かにあるけれど、まずは社長の許可が必要かもしれない」と言われたんです。そこで、飲み会の席で思い切って社長に相談してみました。すると、「前例はないけど、お前がパイオニアになればいい」と、意外とすんなりOKをもらえたんです。

ただ、お酒が入っていたこともあり、社長はその話をすっかり忘れていたんですよね(笑)。後日あらためて呼び出され、「一度仕事を離れたらクライアントから見放されるぞ」と釘を刺されました。でも、制度として認められている以上、自分には育休を取る権利があると開き直りました。最終的には総務のサポートもあり、なんとか取得にこぎつけました。

とはいえ、社内の理解があったとは言えません。昭和世代のベテラン社員からは「仕事しながらカミさんのサポートくらいできるだろ」とか、「男が育休取って何ができるんだ」といった声が聞こえてきたり、復帰後も「迷惑かけて、みんな怒ってると思うよ」と嫌味を言われたり。なかなか風当たりは強かったですね。

一方で、育休を取ったことについて、クライアントからはむしろ好意的な反応をもらいました。「いい会社ですね」と褒められることもあって、正直、内心では少しモヤモヤもしました。

とはいえ、自分の業務は外注などで対応し、仕事に穴があかないように調整していたので、クライアントに迷惑をかけずに済んだことも評価された理由だと思います。

実際に育休を取ってみて

赤ちゃんをあやすパパ

――育休を実際取ってみていかがでしたか?

取って本当によかったと思っています。育休中は、僕が家事全般を担当し、妻が育児を中心に担うという形で役割分担をして過ごしました。洗濯や掃除、買い出しに加えて、食事の準備も日々のルーティンになりました。

もともと料理には苦手意識があって、結婚後もキッチンに立つ機会は少なかったんですが、レシピを調べながら試行錯誤するうちに「意外とできるもんだな」と思えるようになり、自信にもつながりました。妻から「おいしい」と言ってもらえるのもモチベーションになりましたね。

――取る前と取った後で、「育休」へのイメージは変わりましたか?

「育休は決して“休暇“ではない」というのは、取ってみて一番強く感じたことですね(笑)。たしかに、出勤しなくていい分、体力的には楽な面もありましたが、常に「家の中で何かが起きている」状態なので、気が抜けませんでした。授乳や寝かしつけで寝不足の妻を気遣いつつ、自分も家事をこなす。想像以上にフル稼働な日々で、「これは仕事との両立は無理だな」と実感しました。思い切って休んで正解だったと思います。

――育休中、特に大変だったことは?

一番大変だったのは、妻が急に高熱を出し、産後の手術に関連した感染症の疑いで、3日間ほど入院することになった時です。その間、ミルクにオムツ替えと、すべての育児を一人で担うことになり、正直、心が折れそうでした。

特にきつかったのは夜間のミルク対応ですね。授乳ができない分、ミルクの準備や哺乳瓶の消毒をこまめに行う必要があり、眠い中での細かい作業に追われました。夜中も数時間おきに起きてミルクをあげても、なかなか泣き止まず、まとまった睡眠時間はほとんどゼロ。ふらふらになりながらも、なんとか乗り切ったことを覚えています。

でも、あの3日間を経験したことで、「育児の苦労」を多少知ることができたので、結果としては良かったのかもしれません。

――これからパパになる人に、育休取得を勧めたいと思いますか?

正直、その人の状況によると思います。例えば、里帰り出産でサポート体制がしっかり整っている家庭や、どうしても仕事を休めない職場環境にある場合などは、無理に取る必要はないかもしれません。

ただ、自分の経験としては「取って本当によかった」と思っています。

もし、育休を取りたくても職場の理解が得られない、といった場合は、思い切って転職を視野に入れてもいいかもしれません。実際、育休のことだけが理由ではありませんが、僕自身もその後転職を決めました(笑)。

nobico(のびこ)編集部

nobico(のびこ)編集部

  • X
  • Instagram

PHP研究所が運営する育児・教育情報メディア「nobico(のびこ)」編集部。比べない、悩まない「のびのび子育て」をテーマに、子育て・教育に関する情報をわかりやすく整理し、読者に寄り添う記事づくりを行っています。